化学・英語が苦手な方のためのchemfigシリーズ第4弾です。
今回ももっとも基本的な要素である \chemfigの使い方を説明します!
*注意!!
この記事を書いている人は化学を専攻としていません。(むしろ苦手)
作図する構造式・反応式は高校化学~大学化学基礎までとします。
今回学習する範囲は公式ドキュメントでいうと「Branches~Representing electron movements」あたりです。
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枝分かれのつけ方
以下のコードを見てください。
\chemfig{A (-[:0]) (-[:30]) (-[:90]) (-[:130]) (-[:-60]) (-[:-90]) (-[:-130]) (-[:-180])}
この括弧に当たるものが枝分かれです。Aに8個の枝分かれがついていることになります。
この側鎖は無限にかくことができるのですが、括弧がありすぎるとどこが枝分かれしているのか分からない場合があります。
★括弧を増やさない秘訣は一筆書きです!!
脂肪族炭化水素(アルカン・アルキンなど)を手書きで描く場合Cを真っ先に書きますが、chemigの場合は一番端にあるHから書いた方が括弧の数を減らすして楽に描けます。一筆書きが難しい場合は中心にある原子または分子を中心に括弧をつけていくと簡単にかけます。例えば、エチレンジアミン四酢酸の場合、中心の金属イオンMを固定して枝分かれをつくるなどです。
自動で結合をつなげる
1つの原子または分子に多くの結合線がある場合、結合線をいちいち引くのがめんどくさいと感じることはありませんか?
chemfigには「?」でつないだ原子または分子を自動で結んでくれる機能があります。
例としてシュウ酸鉄(III)酸イオンを挙げて説明します。(3-は省略)
1つ目の(名前)は結合をラベリングするためにあります。英数字(a..z, A..Z, 0..9)を利用できます。この例では時計回りにa,b,c,d,e,fとつけています。結合の片方は?[(名前)]だけで指定します。
2つ目(結合の種類)は単結合・重結合を数字で表現します。単結合は1、2重結合は2・・・・という感じで指定します。右側のシュウ酸鉄(III)酸イオンの鏡像異性体のコードに入れてあります。
3つ目はtikzオプションです。このオプションは前回の記事の「結合線のカスタマイズ」に詳しい説明を入れているので省略します。
\chemfig{Fe?[a]?[b]?[c]?[d]?[e]?[f]
(-[:30]O?[a] -[:80]C (=[:45]O) -[:135]C (=[:80]O) -[:-135]O?[b])
(-[:170]O?[c] -[:-170]C (=[:170]O) -[:-70]C (=[:-170]O) -[:-5]O?[d])
(-[:-80]O?[e] -[:-30]C (=[:-70]O) -[:45]C (=[:-15]O) -[:135]O?[f])} \qquad
\chemfig{Fe?[a]?[b]?[c]?[d]?[e]?[f]
(<:[:30]O?[a,7] -[:80]C (=[:45]O) -[:135]C (=[:80]O) -[:-135]O?[b,1])
(<:[:170]O?[c,7] -[:-170]C (=[:170]O) -[:-70]C (=[:-170]O) -[:-5]O?[d,5])
(-[:-80]O?[e,1] -[:-30]C (=[:-70]O) -[:45]C (=[:-15]O) -[:135]O?[f,5])}
環式炭化水素の描き方
お待たせしました(笑)やっと環式炭化水素を描く段階にやってきました!
環式炭化水素も\chemfigで描くことができます。
atom*n(code)
・環式炭化水素の中に描く円
atom**[angle1,angle2,tikz]n(code)
nは多角形の辺数atomは起点となる原子または分子です。環式炭化水素の中に描く円にあるangleは円を描く範囲を表し、デフォルトではangle1=0,angle2=360としています。
例としてナフタレンを2通りで描きます。ポイントとしてはには2つの側面が一致するような角度の位置でリング同士を結合させることです。
\chemfig{*6(-=-=-(*6(-=-=-=)))} \qquad
\chemfig{*6(-=-=-(**6(-----))-)}
環式炭化水素を回転させる
まずは以下のベンゼンとフェノールの構造式をみてください。
\chemfig{C*6(-=-=-=)} \par
\chemfig{OH-C*6(-=-=-=)} \qquad
\chemfig{OH-[:60]C*6(-=-=-=)} \qquad
\chemfig{OH-[:-90]C*6(-=-=-=)}
なにも指定をしなければ、*の前につける原子または分子はリングの南西にあり、ベンゼンの(-=-=-=)から分かるように、反時計回りに結合をつけていきます。
しかしフェノールのように*の前に1つ以上の結合がすでに描かれている場合、その結合がリングを2分割するような位置に替わってしまいます。この回転を制御するには(上の例だと)OH-Cの結合角度を指定することで環式炭化水素を回転させることができます。
上手くリングを描けないときの工夫
線がかぶってしまった!多角形が美しくない・・!の問題を解消する方法です。
・自動結合をうまく使うと線が被らない
\chemfig{*5(N-=-=(*6(-=-=--)))} \qquad
\chemfig{*5(N?[a]?[b]-=-=(*6(?[a]-=-=?[b])))} \qquad
・結合している場所を指定することでキレイな多角形が作られる
\chemfig{H_2C*5(-CH_2-CH_2-CH_2-H_2C-)} \qquad
\chemfig{[,,2,2]H_2C*5(-[,,2,1]CH_2-[,,1,1]CH_2-[,,1,1]CH_2-[,,1,2]H_2C-)} \qquad
今回はここまで。次回は「\chemmove」をやります。
1記事で終わるような内容なので、楽しく学習していきましょう!!
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参考にしたサイト様
公式ドキュメント
https://www.ctan.org/pkg/chemfig